SNS は Web 1.0 と Web 2.0 の架け橋

梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」ポッドキャスティングを遅ればせながら拝聴させていただいた。

第二部で、「 SNS は Web 1.0 の最後に生まれたアプリケーションである」という命題に関して、一社員が一 Web ユーザとしての意見を述べたいと思う。

大枠としては、日本の SNS が Web 1.0 的であることには同意である。「ホームページ」文化の延長のような印象を受ける。「どこか」に進み続ける Web の歴史の中で、唯一存在しなくても良かったアプリケーションなのかもしれないとさえ思った時期もあった。しかしグリーに入社し、より深くユーザの動向を観察するようになり、そこには SNS でしか築き得ない役割に気づいた。

Web 2.0 という言葉が生まれるずっと以前から、 Web 2.0 的な世界は生まれつつあった。世界が大きく広がり続ける中で、居心地悪く感じていた人が居たのではないだろうか。「儀礼的無関心 *1」という言葉からも、それは見受けられる。

1.0 的なツールでも、 2.0 的なツールでも、小さいコミュニティでしか発言できない人は居る。そういった人たちが、何も発言しないまま、意見を内にとどめてしまってしまうのは非常に勿体無い。その機会損失は、 SNS という守られた場所を提供することで、防ぐことができる。小さなコミュニティの中ででも発言することで、その中に居る人がその発言のエッセンスだけでも外に出すことができれば、そして願わくば、発言する楽しみを覚え、外で発言するようになってくれれば、 Web 全体の利益になる。

いつか外に向けて発信したくなる人を、一人でも増やすために、安心して発言できる、完全に守られた場所を提供することは必要だと考える。 1.0 的世界にしか馴染めない人を、 2.0 の楽しさに目覚めさせるために、完全な 1.0 的世界を提供することこそが、 SNS の役割なのではないだろうか。

それは、いつか必要としなくなるために必要だった、子供にとってのおもちゃのような存在であるとも言える。



今まで閉じたコミュニティで提供されてきた情報を、ボタンひとつで SNS 全体に公開することができるのも、大きな利点だと思う。そしてそろそろ、ボタンひとつで Web 全体に公開できるようにすることも必要なのではないだろうか、と密かに企んだりもしている。

*1:小さいコミュニティで上手くやっているサイトを大手サイトが取り上げることで、多くの人が訪れ、そのコミュニティを壊してしまうことを避けるために、あえて取り上げないこと ... ってこんな理解でいいのかな