ウェブ進化論が面白い理由

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

梅田さんの文章を読むのがとても好きだ。

ここ数年考え続けてきたことをまとめればいいとわかっていても とあるように、この本に書かれていることのほとんどは、(大変嬉しいことに) Web で読むことができる。いつも感じているのは、「へぇ、今そんなことが起こっているのか」ではなく、「そうそう、それなんだよ!」という感覚だ。

blog を通じて Web の面白さに目覚めた頃、それまでとは全く違う状況に立たされることになった。自分の上の人が誰も知らないことを、自分は追いかけ始めていた。初めて、誰に教えて貰うこともなく、自分の言葉で面白さを語らなければならなかった。

こんなにも面白いことが起こっているのに、経験が足らず、伝えたいのに伝えることができない。そんなもどかしさを救ってくれたのも、また Web だった。 CNET Japan に連載されていた梅田さんの記事には、今何が起こっているのか、なぜそれがこんなにも面白いのかが、クリアな文章で紡ぎ出されていた。半ば諦めかけていた、こちら側に視点を置く人に伝える術を手に入れ、 Web とリアルで感動を共有し、より Web が楽しくて仕方がなくなった。

一冊の本にまとめられているために、その感覚が連続して起こり、高揚感が果てしなく押し上げられていく。滅多に本は読まないのだが、(だって、私の知りたいことは既に Web にあり、本になる頃には語り尽くされているから) こんな興奮を味わえる本を提供していただき、それを手に取ることができたことは非常に幸福なことだと思う。

伝えたいことが詰まっているこの本を、多くの人に読んでもらいたい。身の周りで言えば、エスタブリッシュメント層にアドバイスをすることを生業にしている、お世話になっている先生と、そして何より、次の 10 年を作っていくであろう、私より若い全ての人に。

それと、「おまえのやっていることはわからんけど」という父にも薦めてみようと思う :)

こうした文章が、生成のプロセスから Web で読めることの凄さに、改めて感動する。できるだけ多くのことを吸収し、またプロセスを学び新しいことが起こったときに自らの言葉で語り、次の世代に伝えられるようになりたい。それは Google 創始者の 1973 年と、次に期待される 1991 年との丁度中間に位置する私たちの役目なのかもしれない。