完全なネットワークは限定されたコミュニティにあるのか

SNS が流行り始めた頃、そこは Web 上でありながら、安全なネットワークだった。名前や顔、個人情報を公にすることに、ほとんどの人は抵抗を示さなかった。それは、まだ SNS が、友人が友人を呼び、技術者だけで構成されていたためでもあるだろう。
そう、それはかつて、コンピュータネットワークが技術者のみで構成され、ネットワークをより良いものに尽力していくことのみに力を入れていればよかった頃のようだ。
やがて SNS は一般にも浸透した。 SNS 自体の面白さというよりは、「 Welcome to My Homepage 」的な構成と、そのそれぞれの「我が家」へのフィードバックが容易なサービスが出てきたためだろう。
それはさながら、かつてのホームページブームを見ているようだ。
歴史は繰り返す。
さて、最近ではソーシャルブックマークが大ブームである。とはいっても、ローカルでソーシャルブックマークの話題が出てくることは少ない。今はまだ、一部の Geek のためのものだ。
そのため、人単位で見ても、 Tags 単位で見ても、非常に有益な情報が得られる。どれだけ時間を使っても、すべての情報を追いかけることは不可能だ。しかし、どれだけの時間を使っても、無駄にはならない。そこは情報の宝庫だから。
もし今後、一般に普及した場合、この信頼性は保たれないだろう。無益な情報が増え、ノイズが増える。
歴史は繰り返す。
すべての情報は価値を持ち、ノイズ避けに無駄な時間を費やすことはない、安全で、完全な、有益な情報のみで構成されるネットワークは、技術者のみで構成することによって、いとも簡単に手に入るのだ。
オーディナリー・マジョリティの存在によって、ネットワークが面白くなっていくことは否定できない。しかし、それはそれとして、 Geek に広まり始めた頃から、一般に浸透するまでの微妙な、絶妙な状態の維持を、望まずにはいられない。
日本発(多分)のソーシャルブックマークサイト Snippy は、「クリエイターズ」と冠されている。確かにそこには、 Web 製作者にとって有益な情報のみを得ることができる。*1 SNS の(ある意味での)失敗から、こういった住み分けが自然に行われるようになってくれればと願う。



「有益な情報」や「技術者」、「一般」の意味合いがあいまいだが、欲しい情報とそれを排出している核となる人々に置き換えてもらえれば、大抵の場合当てはまると思う。良質のネタと古参のコメディアンと若手のコメディアンとか。

*1:ノイズになりたくなくて、閲覧専用になっている。閲覧は公開とするか、閲覧専用ユーザが欲しい。